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催眠遊戯 中編

「と、とにかく……催眠術ごっこなんてくだらないことはもう終わりだからね!」
「ふふーん? 残念だけど和くんは私が許可しない限り、絶対帰れないよー」

反応したら、先輩の思う壺だ。僕は先輩の言葉を無視して歩き出すと、今度こそ教室の扉に手をかける。

「くすくす……疑うなら試してみる? 私としても、そっちの方が面白いし」
「っ……! さようなら!」

自分を奮い立たせるように別れの挨拶を口にし、手に軽く力を入れると扉はあっさりと開いた。
そして、数歩足を踏み出す。ひょっとしたら見えない壁にでも阻まれるんじゃないかと心配したが、何の問題もなく廊下に出られた。
やっぱり催眠なんて嘘だったんだ。僕はほっとして背後の扉を閉めると、玄関に向かっていった。特に先輩が追いかけてくる気配もない。
それにしても先輩、なんだか怖かったな……これからはちょっと気をつけないと。
玄関までたどり着くのはあっという間だった。僕は扉の前で手をかけた。ここを通れば外に出られる。
扉を開き、足を「中に踏み入れる」。

……え?
目の前に広がった光景に思考が停止する。
扉を開けた先の空間は学校の校庭じゃなかった。

……部活動を終えた女の子達が下着姿で着替えている、女子更衣室だった。


「ふぇ……か、和くん!? 一体どうしたの……?」

クラスメイトの由梨ちゃんが驚いた表情で胸を押さえているけれど、完全に隠し切れずにピンク色のブラが覗いている。
下半身に履いているおそろいのショーツも丸見えだ。

「えっと……ご、ごめんなさいっ!」

真っ赤になりながら謝って、急いで更衣室から飛び出す。
どうして、更衣室なんかに? 確か僕は玄関に向かってたはずなのに……
思考がまとまらないままに僕は一目散に逃げる。
きっと先輩にあんなこと言われて意識してたから、うっかり道を間違えてしまったんだ。とりあえず、頭を冷やすためにどこかで一休みしよう。
僕は、目の前にあった教室の扉を開いた。

「あら、おかえり和くん、忘れ物?」

そこにいたのは、椅子に座ってくつろぎながら僕を見据える里美先輩の姿だった。

「え……先輩!? どうしてここに……?」

まさか先回りされたのかと、あわてて辺りを見回す。見覚えのある机の配置、そして黒板の板書。
……そう、僕が逃げ込んだ部屋は、先輩が僕に催眠術をかけたもとの教室だった。

「くすくす……言ったでしょ? 和くんは絶対に帰れない、って。ところで……女子更衣室の眺めはどうだった?」

先輩はまるで獲物を玩ぶ獣のように目を細めて、唇の端を吊り上げた。

「なっ……し、知らないよ、何の話をしてるの!?」

一瞬、さっきの出来事を見られていたのかと焦ったけど、この教室からさっきの女子更衣室は見えるはずがない位置にある。
きっと当てずっぽうで適当なことを言っているだけだろう。
だが、そんな思いをよそに先輩の言葉は追い討ちをかける。

「ふぅん、とぼけちゃうんだ……せっかく私が暗示で目の保養を促してあげたのに、つれないなー」
「……まさか……先輩が、僕に暗示を書けたせいで、さっき僕は間違えて……」
「そういうこと♪ まだ疑うなら……今度は間違えて女子シャワー室に入っちゃうようにサービスしてあげようか?」

まるで悪戯っ子のように先輩が微笑む。恐らく、先輩がその気になれば、そんな暗示を僕にかけることなど造作もないんだろう。

「や……やだよっ! なんで先輩は僕にそんなことさせようとするの……?」
「えー? だって、和くんも女の子たちのエッチな姿を見られたら、嬉しいでしょ?」
「嬉しくなんか、ないよっ!」

思わず顔を赤らめて叫んだ。そんな理由で恥ずかしい目に遭わされたりしたらたまらない。

「ふーん、本当に? じゃあ、試してみようかなー?」

先輩は僕を見下ろしながら、楽しむように言葉を紡ぎ始めた。

「ふふ……私が指を鳴らすたびに、和くんの頭の中は、さっき女子更衣室で見た光景を鮮明に思い出してえっちな妄想でいっぱいになってしまうの。どれだけ別のことを考えようとしても、無駄だよ……」

言葉を切ると、先輩はすっと右手を掲げて、指を鳴らした。

ぱちん。

「あ……っ!?」

その音を耳にした瞬間、僕は小さく悲鳴を上げる。
まるで目の前にいるかのように、さっき目撃してしまった由梨ちゃんの下着姿がはっきりと脳裏に浮かんでしまったのだ。
ふだん制服越しに見ているだけでは分からない、ほっそりとした足に、やわらかそうな胸のふくらみ……
あの胸に触れたら、きっとすごく気持ちがよさそう……

……って、僕は何を考えてるんだ!
慌ててぶんぶんと頭を振って、いやらしい妄想を追い払おうとするが、どれだけ他の事を考えようとしても由梨ちゃんの肢体が頭から離れない。

「ほらほら……だんだんえっちな気持ちになってきたんじゃないのー?」

ぱちん、ぱちん、と先輩が指を何度も鳴らしていく。

「やっ、先輩、ダメ……!」

その音が耳に入るたびに、僕の頭は勝手に由梨ちゃんのいやらしい姿を思い描いていく。

『ねえ、和くん、来て……気持ちいいこと、してあげる……』

由梨ちゃんは、ピンク色の下着の上下を脱ぎ捨てて裸になると、僕のほうに迫ってくる。
その胸の先端には桜色の突起が自己主張するように立ち、ショーツの下には薄く毛の生い茂った……

「あら、和くんのズボンの下のそれは何かなー? くすくす……えっちなことなんて、嬉しくないんじゃなかったの?」
「え……うわあああっ!?」

先輩の一言で我に返ると、僕は真っ赤になって思わず叫び声をあげながら慌ててズボンの前を押さえた。
そう……情けないことに、今の妄想で僕の下半身は制服のズボンの中ではちきれそうなほどに膨れ上がっていたのだ。

「そんなにおちんちんを大きくしちゃうくらいにえっちなことが好きなくせにね……君みたいな嘘つきさんには、お仕置きが必要かな?」

涙目になって両手でズボンを押さえる僕の姿を楽しそうに見つめながら、先輩はにっこりと微笑んだ。

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久々にコメント。もうマジックショーの続きが読めないだろうか。

とうめいさんへ

半年も更新してないブログなのに、ありがとう……!
すみません、なんかほかの事をし始めて、時間とモチベがそっちに向いていました。
一応、諦めずにちまちま書いていくつもりです……!

No title

おお!コメントを返してくれましたか!ティーカさんのペースでゆっくりでいいですよー。これからもブログ見にくるので、愛とマジックショーのファンとして応援します。カーテン付の個室で着替えるシュチェーションが楽しみなのは、内緒ですw
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ティーカ

Author:ティーカ
MC(マインドコントロール)全般や、超能力・奇術・魔法なんかの非現実的なシチュエーションが大好きです。

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